リモートワークにおける働き方について
0. 前提: リモートワークの難しさ
リモートワークとは、最高効率で働くことができる夢のような労働環境です。
しかし、人間は効率よく生きることには向いていません。多くの人は集中力を高い状態で維持することに慣れていないしすぐ気が滅入ってしまいます。
また、直接会うことと同様のことをリモートワークですべて実現することは非常に難しいものがあります。
なお、いままでの『リモートワーク』と今状況下の『リモートワーク』は似て非なるものです。たとえば私はフルリモートだったとき、喫茶店や深夜のファミレスを自分の労働場所と定義していました。しかし、いまの外出自粛環境下では、労働場所を自宅以外に設定するのは非常に難しい状況にあります。我々は新たな挑戦をしなければならないのです。
本稿ではいままでの働き方とリモートワークの違いやリモートワークでの働き方のTipsなどをまとめます。よりよいリモートワークができるよう祈っております。
1. リモートワークで失われるもの
1.1 会社から提供される労働環境
会社が用意するオフィス、回線環境などがなくなります
1.2 身体的な接触
触れ合ったり、リアルな存在感を感じることがなくなります
- Pros
- セクシャルハラスメントなどの機会が減る
- Cons
- 物理的な距離による信頼関係の醸成ができなくなる
- 孤独感/精神衛生の負荷の増大
1.3 他愛ない雑談
ふとした雑談などは非常に限られるようになります。ちょっとしたコミュニケーション、簡易MTG、席ごしの呼びかけなどがなくなります。
- Pros
- 無駄な雑談がなくなる、時間的な効率が良くなる
- いきなり声をかけられることがなくなる、集中した状態を維持することができやすくなる
- Cons
- 雑談は新しいインスピレーションの源泉だが、その機会がなくなる
- 集中のオンオフの切り替えが発生しづらくなる
1.4 出勤/打ち合わせの移動
電車通勤などで出勤していた人は、その往復がなくなります。
- Pros
- 移動により体力を削られることがなくなる
- ゆっくり寝ることができる
- Cons
- 体力が落ちる
- インプットの時間(読書など)を強制的に作ることができなくなる
1.5 取引先との直接の会話
Zoomなどのオンライン会議が主流となるため、物理的な対面打ち合わせがなくなります。
- Pros
- 議題について集中して討論することができる
- Cons
- 信頼形成が非常に難しくなる
- 名刺などの物理的な媒体がなくなる
1.6 相互監視
オフィスワーカー相互の監視がなくなります。
- Pros
- くつろいだり、詰まったときにベッドに寝転んだり、テレビを付けて少し休憩したりすることができる
- Cons
- 怠け者が多くなるリスクが上がる
1.7 空調システム
冷房・暖房・換気などを管理する機構がなくなります。
- Pros
- 自分の快適な気温で労働ができる
- Cons
- 光熱費がかかる
- 換気などをつい忘れてしまう
1.8 ランチ・飲み会
飲み会などがなくなります。
- Pros
- 余計な出費がなくなる
- アルコールハラスメントなどから身を守ることができる
- Cons
- 悩み、愚痴などをさらけ出す場所がなくなる
- 「ぶっちゃけ話」を聞くことが難しくなる
1.9 残業の評価
「残業することが偉い」という価値観がより一層肯定されなくなります。
- Pros
- 残業をせず生産性が高い人の評価が上がる
- Cons
- 生産性が低い残業をしていた人の評価が下がる
2. リモートワークにより得られるもの
2.1 家での時間
リモートワークにより、家での時間が得られる。
- Pros
- 家族とのコミュニケーションを増やしたり、本を読んだり映画などを観る時間が得られる
- Cons
- 意識的に家事などにコミットメントする必要がある
2.2 衛生
衛生上の不安から開放されます。
- Pros
- 感染者との接触機会を有意に少なくすることができる
- Cons
- なし
2.3 労働効率
より仕事に向き合うことができるようになります。
- Pros
- 効率的に労働を行うことができる
- Cons
- 仕事に「雑味」がなくなってしまう。より高い自己管理意識が求められる
3. リモートワークに必要なもの
3.1 Must
- 部屋
- 仕事部屋を別途用意できればBetter
- 回線
- PC
- Webカメラ
- Macbookの場合は不必要
3.2 Want
- ペット
- 犬猫、亀、etc...
4. リモートワークでの基本設計
4.1 定期MTG
定期的にチームでミーティングを実施しましょう。
弊部署では以下の定期MTGを設定しています。
- 毎日、定時に1人あたり1分で行った作業、これから実施する作業を報告します
- 11:00-11:15: 作業開始ミーティング
- 今日行う作業をそれぞれのメンバーが報告
- 15:00-15:15: 中間報告ミーティング
- 11:00-15:00までの進捗をそれぞれのメンバーが報告
- 19:30-19:45: 日次報告ミーティング
- 15:00-19:00までの進捗をそれぞれのメンバーが報告&明日の作業共有
4.2 内部・外部MTG
外部とのミーティングは定められたオンラインツールを用いてください(推奨: Zoom)。
また、以下のプラクティスを参考にしてください(参考: Gitlab Communication)。
- ビデオ通話 - カメラをOnにしてください
- 容姿が見えることは顧客に対して信頼感を与えます
- 通信の確立 - 音声が繋がっているか確認してください
- ビデオ通話の場合音声・映像に問題が出る場合があります
- 回線が細い場合、映像はOffにしてください
- アジェンダ - アジェンダ/資料を用意して相手側へ事前に共有してください
- 議事録 - 会議内容はすべて議事録にまとめてください
- 誰と、いつ、どのような話をしたのかをメモしてください
- 要点とネクストアクション - 次のアクションを明確にしてください
- 「誰が」「何を」「いつまでに」やるのか決めましょう
- また、要点(合意したポイント)とネクストアクションを打ち合わせ終了前に会議相手と認識のすり合わせをしましょう。浮いたボールがあれば、どのように対処するか決めましょう
- 次回の打ち合わせの調整
- いつ行うか決めましょう
- すぐに決められない場合、どういうアクションを行った場合に次回打ち合わせ等行うか確認しましょう
- 会議後のアクション - 議事録を保存しメールを送る
- 会議の礼と上記の要点、ネクストアクションを送付してください
- 議事録を定められた場所に保存してください
4.3 日報
毎日作業内容を共有してください。
- Schedule
- Todo
- Doing
- Done
という4種類に切り分けタスクの進捗状況を共有する、などの手法があります。
4.4 作業の管理
リモートワークの管理は一般的に以下のアプローチがあります。
- ビデオ通話を常にオンにさせ、「相互監視」を行う
ビデオ通話をずっとオンにしておくと、オフィスでの相互監視と同様の効果を作ることができますが、通信環境の負荷が大きくなりますし、また本質的ではありません。
そもそもなぜ作業の管理が必要になるかというと、プロジェクトマネジメントが従前より行われていなかったことに多くの場合起因するかと思われます。
改めてプロジェクトマネジメントはどうするべきか、という問題に対して考え直す良い機会ですので、より良いマネジメント方法を模索してみましょう。
5. ツール
5.1 遠隔会議ツール
- Zoom (推奨)
- 安定した回線でのオンライン会議が実施可能
- 100人まで入ることが可能
- 一般のアカウントでは3人以上の場合45分までの時間制限あり
- Proアカウント(2,000円/月・アカウント)で制限撤廃
- 会議の自動録画が可能に
- 時間制限が撤廃
- Hangouts Meet
- 最大同時250人まで
- Whereby
- 同時4人まで
5.2 タスク管理・Wikiツール
- Notion(推奨)
- タスク管理(カンバン形式)、Wikiなどが利用可能
- Trello
- タスク管理(カンバン形式)
- Asana
- タスク管理(カンバン形式)
5.3 チャットツール
- Slack
- Chatwork
- Facebook Messenger
6. Tips
リモートワークにおけるいくつかのTipsをまとめます。
- 空気を入れ替えよう
- 空調システムがないので、二酸化炭素濃度が上昇する可能性があります
- 新鮮な空気を常に取り入れることを意識しましょう。理想は1時間に1回の換気です
- 音楽をかけてみよう
- 無音環境での労働は集中力を上げる一方で集中のしすぎは精神を摩耗させます。適度に音楽を流して集中力を一定の状態で保つようにしましょう
- オススメの音楽
- 散歩をしよう
- 通勤や往訪をしなくなると体が鈍ります。外の空気を吸わないと精神状態も悪くなります。ルートを決めて散歩をしましょう。
- オンラインランチをしよう
- 13:00-13:30 など、決まった時間にオンラインランチセッションを設定しましょう。
- 「仲の良い人同士」で固まるのは避けましょう。
- 弊部署では定期ランチセッションを実施しています
- ルール
- ミュートをしない
- ビデオを写す(推奨)
- 部屋の様子は会話のネタになります
- ルール
- 筋トレをしよう
- 健康な状態でいるために体操などを取り入れましょう
- 「超ラジオ体操」は手頃に実施できてオススメです